「3年の親子留学予定から、まさかのカナダで起業」森 尚樹さん カナダ歴: 3年1ヶ月|私のターニングポイント第41回
カナダ歴:3年1カ月
2007年に新卒でリクルートエージェント(現リクルート)に入社し、ベンチャーの人事やフリーランスを経て2018年に日本で「Rasisat株式会社」を設立した実業家の森さん。2021年末に家族でカナダのバンクーバーに移住し、2023年3月から「Twinsカナダ留学」をスタートし、留学エージェントと転職エージェントの二刀流で事業を進める森さんのターニングポイントは?
家族で海外に暮らす経験をしてみたい
これは結婚する前から妻が言っていた夢のひとつでしたが、結婚当時サラリーマンだった私としては、そんな未来を予想するはずもありませんでした。
長男が生まれ、その下に男女の双子が生まれ、男性育児休暇を2ヶ月くらい取ったタイミングがあり、その際に自分の今後の働き方や、家族との時間の過ごし方を考えて「脱サラして独立する」という道を決めました。結果、育児休暇から復職した1年後に、会社を辞めて独立しました。
下の子どもたちが小学生になるタイミングで、オーストラリアに教育移住をする予定でした。ただ、当時のオーストラリアは子どもの学生ビザに親がついていけるのは1人までという話も聞いており、当初は私が日本とオーストラリアを行き来し、メインは妻と子供たち3人による母子留学を予定していました。
突然のコロナ禍へ
2020年初め、世界は新型コロナによる突然のパンデミックに見舞われました。オーストラリアもなかなか国境が開かず、子供たちの学校もいつ受け入れが可能になるかが不透明な状態が続きました。そんな中、カナダであれば、子どもの学生ビザに親が2人とも帯同できることを知り、私の仕事もフルリモートでできることが増えてきたので、それであれば行き先をカナダに変えて一緒に行こうと決断しました。
カナダには2021年12月末に渡航したのですが、最初こそ冬の寒さや言語の壁、人的つながりがないことなどで、寂しい思いが強く、個人的には日本が恋しかったです。ですが、SNS上のつながりをきっかけにカナダでの人脈が増えていき、バンクーバーの夏の魅力を味わったりする中で「もっと長くいたいかも」と思うようになりました。子どもたちも最初こそ英語環境への戸惑いはありましたが、徐々に慣れていきました。
インフレや円安の加速。このままでは3年間もいられないかも。
そう思っていた矢先、たまたま知り合ったビザコンサルの会社を経営している日本人の方との会話の中で、私の場合は日本の子会社をカナダに設立し、そこから自分に対して就労ビザを発行するやり方があることを知りました。そこからの動きは早かったです。1ヶ月後には法人登記、2ヶ月後には就労ビザを取得していました。当時は今よりもその形態でのビザが取りやすかったのも大きかったと思います。
ただ、当たり前の話ですが、法人を作ったからには事業を営まなくてはいけません。しばらくは自分がどんなことをカナダで展開したいかを模索していましたが、結果的には、社会人のコープ留学エージェント「Twinsカナダ留学」や、私のようにカナダへ親子留学や家族移住をする方をサポートする事業などを展開することにしました。
今では当初の予定だった3年間をちょうど超えたところで、まだしばらくカナダにいる予定です。せっかくだから、このまま永住権の取得も目指そうかと思っていますが、だからと言って永住するとは思ってはいないです。将来的に、日本でもカナダでもどちらでも暮らせる「選択肢」を持てる状態にしたいなと考えています。
カナダで法人を設立し、事業展開をしていくことは苦労の連続
まず、いかに日本での起業は情報が揃っていたかということを知りました。日本語だからということ以上に、日本では「自分がぶつかる壁はすでに誰かがぶつかっている壁」であるので、調べれば過去の人の事例にアクセスして、自力で多くのことを進めていくことができます。一方、カナダでは情報が本当に見つかりませんでした。英語も駆使して調べても分からないことが多く、一番は詳しい人に聞くのが近道でした。多くの人に助けられたおかげで今があると思っています。
私がYouTube「名もなきカナダ移住チャンネル」を今でも継続しているのは、自分たちがカナダに来て困ったこと、知りたかったこと、ぶつかったことをできる限りわかりやすく言語化し、次にカナダに移住してくる人たちが助かるようにしたいと思っているからです。おかげさまで、カナダに移住するご家族の多くからご視聴いただけるようになり嬉しい限りです。
https://www.youtube.com/channel/UCRw8hIyDgvlIqJ0ZlNqWHYw
おかげさまで、カナダの会社で始めた留学エージェント事業「Twinsカナダ留学」は、社会人でカナダのコープ留学を目指す多くの方々の目に留まるようになり、売り上げも大きく伸ばすことができました。その事業成長を通じて、日本では苦手だった「マネジメント」も経験する機会を持つことになり、自分1人の力よりも、多くの仲間の存在により事業が大きく展開されていくことのやりがいを感じている日々です。まさか、40歳を超えて、こんなに多くの挑戦や成長の機会を持つとは思いもしませんでした
■ いまの自分に点数をつけるとしたら?
75点
日本とカナダの仕事を同時並行でやることで、物理的に時間が追いつかずにヒーヒー言っていることが多いです。本当はもっと周りに任せることを覚えたいと思っています。
■ 子ども時代から社会人になるまで
小学校と中学校の頃は勉強もできる優等生な学級委員をやってしまうような子でしたね。高校に入り、バスケ部が強豪だったので部活漬けになり、成績は一気にクラスの下の方に。大学受験はどこも受からずに浪人生活へ。浪人の時は勉強漬けで、なんとか慶應と上智に受かり、結果的に慶應の法学部に行きました。社会人以降もずっとバスケをしており、カナダに来てからもバスケを続けています。バスケを通じてカナダの友人がたくさんできました!
■ もし人生をやり直せるとしたら、いつ?
基本的には、やり直したいことはないです。リクルートに入ったこと、ベンチャーの人事に転職したこと、妻と結婚して、3人の子供たちが産まれ、起業して、カナダに家族移住して、カナダでも起業して、「Twinsカナダ留学」をスタートできました。それらの選択や決断は全て間違ってなかったと断言できます。もう一回戻っても、同じ道を辿ると思います。
■ 人生で大事なもの
一緒に笑い支え合える、家族や仲間の存在です。それがあれば、一時的にお金がなくても、苦しい状況に陥っても、なんとかなると思っていますし、これまでもなんとかなってきました。
■ 今後のライフプラン
近い将来だと、カナダの事業と日本の事業とのシナジーを最大化していきたいと考えています。少し先の未来では、どこかのタイミングで日本に家族で本帰国した後になりますが、カナダでの経験を活かしてまた新しい事業をやりたいなと思っています。
-好きな本: ①成功者の告白(神田昌典著)、②手紙屋(喜多川泰著)、③夢をかなえるゾウ(水野敬也著)
-尊敬する人:江副浩正さん(リクルート創業者)
-感謝している人と一言メッセージ: 両親と義両親。本当は孫たちとたくさん会いたい時期なのに、カナダへの家族移住へと送り出してくれてありがとう!
-カナダの好きなところ:アジア人も多く、自分がマイノリティと思うことがほとんどないところ。自然豊かなところ。夏は特に最高