vol.11|『第七問』|翻訳の窓から – 書評で読む世界
世界を揺るがす大事件の前後には流れがある。様々な出来事が複雑に絡み合い、偶然にリンクし、将来にまで巻きついて離れない。同じ出来事でも、ある一面は語り継がれ、またある一面は忘れられていく。リチャード・フラナガンは『第七問』 […]
世界を揺るがす大事件の前後には流れがある。様々な出来事が複雑に絡み合い、偶然にリンクし、将来にまで巻きついて離れない。同じ出来事でも、ある一面は語り継がれ、またある一面は忘れられていく。リチャード・フラナガンは『第七問』 […]
マーク・トウェイン作の『ハックルベリー・フィンの冒険』は読んだことがあるという人は多いはず。パーシヴァル・エヴェレットの『ジェイムズ』(木原善彦訳、河出書房新社)は、あのハックと一緒に逃亡した黒人奴隷ジム、すなわちジェイ […]
人と人を分断するような言葉には注意しなさい」 ──レフ・トルストイ 将来の道を決めるとき、語学習得も視野に入れる人は多いが、ロシア語を選ぶ人は少ないだろう。著者の奈倉有里さんはその希少なひとり。2002年にロシアに留学し […]
ヴィクトリア・ロイド=バーロウの『鳥の心臓の夏』(上杉隼人訳、朝日新聞出版)はイギリス湖水地方を舞台にしたひと夏の出来事を、数年後に回想していく物語。語り手サンデーは自閉スペクトラム症(以下ASD)を抱えるシングルマザー […]
冬の冷たい風が吹きすさぶ崖、未知の感染症が蔓延し人影まばらな街角、明治時代の銀座の煉瓦街、地球から27000光年離れたブラックホール。短篇集『成層圏の墓標』(光文社)は読者をさまざまな場所に連れて行く。 著者の上田早 […]
カズオ・イシグロは1954年に長崎で生まれ、幼くして両親とともに英国に渡った。1982年発表の『遠い山なみの光』はイシグロの長編第1作だ。自分のなかの日本を残しておきたかったと作家が語るように、ここではその経歴が色濃く反 […]
韓国のノワール小説『野獣の血』(キム・オンス著、加来順子訳、扶桑社ミステリー)は、韓国民主化後の1993年、釜山の架空の港町クアムが舞台だ。この町の母子園で育った主人公ヒスは40代で独身。冷静さを買われ、クアムを牛耳るソ […]
ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(シーグリッド・ヌーネス著 桑原 洋子訳)は2024年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したペドロ・アルモドバル監督による同名映画の原作である。 作家の<わたし>は、久しぶりに再会した友人 […]
2024年のノーベル文学賞に輝いた韓国の作家ハン・ガンの『別れを告げない』(白水社、斉藤真理子訳)は、1948年に済州島で起きた4・3事件が背景になっています。今はリゾート地として有名な済州島ですが、この事件で6万人もの […]
中国系アメリカ人、R.F.クァンが書いた『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』は、ハリー・ポッターのダーク版とでも言いましょうか。覇権国家の横暴、権威主義、移民、AIが引き起こす危機と現代と重ね合わせながら、ぐいぐ […]
短編集『掃除婦のための手引き書』の表紙には、美しい女性の写真。小粋に煙草を指に挟んだまま、微笑みながら遠くを見つめる目は達観し、何事も見逃さないような印象を与えます。この女性が著者ルシア・ベルリンです。 1997年に初の […]